ずっと安心して暮らしたい…リフォームありきの家づくりを考える

形あるものが何でもそうであるように、住宅は永遠に完成したときのその状態を保てるものではありません。年月を経れば、その分だけ傷み、劣化していきます。とはいえ傷んで古くなったからといって、その家を手放すという選択は注文住宅の場合、ほとんどないと思います。建物だけでなく、土地を手放すことにもなってしまいますし、何より最長35年という住宅ローンの返済期間の長さが重くのしかかってきます。

そこで登場するのがリフォームという選択肢です。今まさに新築で家を建てようという時ではあまりピンと来ないかもしれませんが、注文住宅で家を持った以上いつかは家の一部、あるいは大半のリフォームが必要になります。設備や材質によっても異なりますが、一般的には水回り設備で10年~15年、外装なら10年前後でリフォームのタイミングが来ると言われています。

また、その家に住み続ける何十年という月日の中で、家族が増えたり、子どもが大きくなって独立したり、自分自身も年を取ったりと様々な変化が起こります。そうしたライフステージの変化に合わせてリフォームを考えるというのも、快適な暮らしを長く続けていくためには大切なことなのです。そこで今回は、ずっと安心して我が家で暮らしていくための、リフォームありきの家づくりについて考えてみましょう。

まず知っておいてほしいのは、建物の工法・構造によってリフォームのしやすさは異なるということです。ごく一般的な住宅工法の1つである木造建築の軸組工法は、軸となる柱・骨組みさえしっかりしていれば屋内の構造変化には比較的対応できるので、大規模なリフォームも可能です。また、あとからの増築もしやすいと言えます。

一方同じ木造建築でも2×4構造の場合、柱ではなく壁や床といった構造合板の面で建物を支えています。そのため、間取りの変更や開口部の移動といった内部の大きなリフォームに対応できない場合もあります。建物の構造や耐力性に影響を与えないリフォームをするためには、必ず事前に最初の施工を依頼した業者に相談するようにしましょう。

鉄筋コンクリートのいわゆるRC造や、鉄骨造といった屋内の壁や床も含めて建物が一体となって構造体を形作っている工法では、その部分には基本的に手を加えることはできません。やるとすれば、非常に大掛かりな工事になるでしょう。後から部屋を付け加えるような外側への増築も非常に難しくあります。ただし構造体ではない部分の壁や柱などについては手を入れることは比較的容易にできます。

どんな工法を選ぶにせよ1つ言えることは、建築時に将来的なリフォームの可能性を考慮に入れた設計を考えるべきであるということです。間取りやそれぞれの空間の広さなど、もともとの家の設計が、いずれリフォームをするとなった時に少なからず影響します。注文住宅の設計となるとつい夢や希望ばかりが膨らんでしまいがちですが、先のことまできちんと考えておくことが、良い家づくりのためには必要なのです。