地鎮祭に上棟式…知っておきたい住宅づくりの儀式のこと

注文住宅を建てるという経験は、人生においてそう何度もできるものではありません。マイホームを購入するというカテゴリの中でも、マンションや分譲、あるいは中古住宅ではない、新築の注文住宅を建てられる人というのはごく限られています。だからこそ実際に『家を建てよう』と決意して、建築に向けて動き出して、初めて知ることというのは思った以上に多いものです。

その1つとして、住宅づくりにかかわる儀式が挙げられます。家づくりの段階に応じていくつかの儀式があり、基本的にはハウスメーカーや工務店の担当者が流れを取り仕切ってくれることがほとんどです。とはいえせっかく自分の家を建てようというのですから、せめて行われる儀式のいわれや流れくらいは知っておきたいものです。そこでここでは、注文住宅の家づくりにかかわる主な儀式について少し詳しくご紹介しましょう。

まず1つ目は、地鎮祭です。地鎮祭というのはその土地の神様を祀り鎮め、工事が安全に順調に進むようにと祈願する祭祀です。着工前のまだ土地が更地の状態の時に、暦上の吉日を選んで行われます。住宅を建てる際にはほぼ必ず行われる大切な儀式です。近所、もしくは施工依頼先とゆかりの深い神社から神主さんを呼んで行う神式が一般的ですが、施主の宗教によってはキリスト教式、仏教式なども可能です。

土地に祭壇をつくってお供え物をささげ、祈祷や土地の四方へのお清めを行うというのが通常の流れです。神主さんには『初穂料』という形でお礼をお渡しします。金額はだいたい3万円前後ですが、地域によって相場があるので事前に施工側の担当者に確認しておくことをおすすめします。また、初捕虜とは別に道具やお供え物類の費用として2~3万円必要になることもあります。

もう1つ、よく行われる儀式として上棟式があります。木造建築で屋根の枠組みとなる部分まで作り上げることを棟上げ・上棟などというのですが、上棟式はこの棟上げまで無事に工事が進んだことを祝い、感謝する儀式です。地鎮祭に比べると、儀式的なものよりもお祝いとしての意味合いが強く、施工を担う職人さんへのねぎらいも含んでいます。

基本的には現場の責任者である職人の棟梁が中心となって進めるもので、家づくりにかかわる人が一堂に会する宴会のような場になることも珍しくありません。施主からは棟梁をはじめ職人さんや工事にかかわる人にお祝い金を包むのが一般的です。棟梁など役職者・責任者には1万円、それ以外の職人さんたちにはそれぞれ5千円程度が相場です。

こうした儀式の類は費用がかさむこともあり、最近では省略されたり施工者側だけで簡単に済まされてしまうことも増えてきています。しかし土地の神様にきちんとご挨拶をすること、実際に家づくりに携わってくれている人たちに感謝を伝えること、どちらもとても大切なことのように思いませんか?特に上棟式は、その後のハウスメーカー担当者や職人さんとの関係づくりにも役立ちます。金銭面のことだけでなく、何が本当に自分にとって得になるか、よく考えて決めましょう。