オール電化と電気・ガス併用…結局どっちがお得なの!?

設計するうえでの自由度が高いというのは注文住宅ならではの魅力ですが、それゆえに複数の選択肢を提示されて悩む機会が増えてしまうのは否めません。中でも最近悩ましい選択の1つとしてよくあげられるのが、『オール電化か、電気・ガス併用か』という問題です。

この点に関して、『結局のところ使う人の好みである』ということがよく言われます。それももちろんそうかもしれませんが、光熱費というのは住宅のランニングコストの中でも大きな割合を占める部分です。したがってやっぱり一番気になるのはお得さですよね。そこでここでは、オール電化と電気ガス併用という2つのエネルギー利用方法を、主にコストという面に重点をおいて比較してみましょう。

この2つの比較に入る前に、1つ踏まえておいてほしいことがあります。エネルギー源のコストというのは単純に光熱費だけでなく、加熱機器や給湯器などの機器類の導入時にかかる費用も考えなければならないということです。導入時の費用は一時のことのように思われますが、実際には住宅ローンへの上乗せという形で長い期間少なからず家計に影響を与え続けます。したがって光熱費だけに注目して導入時の費用を度外視することはあまりおすすめできません。

ではまずはオール電化の場合から考えてみましょう。オール電化というのは単純に光熱源をすべて電気でまかなうスタイルを指します。建築時にガス管の引き込み・敷設が必要ないので、その分の工事費約20万円前後を節約することができます。

ただし機器類に関しては、比較的コストが高めになってしまう傾向があります。IHヒーターや専用レンジフード、電気でお湯をつくるエコキュートなどは同様の働きをするガスで使える設備機器よりも高価であることがほとんどです。また、工事費も割高になるでしょう。機器・工事費合わせて100万円以上になることもあります。そう考えると、導入時の費用は相対的に高くつく計算になります。

しかし実際に使い始めてみると、オール電化の方が光熱費がお得に住住む可能性が高いでしょう。というのも、ガスの契約がない分、毎月の基本料金が電気のみで安く抑えられます。しかもたいていの電気会社はオール電化住宅に対して種々の割引サービスを設定しています。したがって、電気を通常よりもお得に利用できるのです。

一方、電気・ガス併用にするとどうでしょうか?敷地内への電気・ガス双方の配線コストがかかりますが、設備機器類やその工事費はオール電化の半分から場合によっては3分の1程度で済みます。つまり導入にかかる費用は確実にオール電化よりも安く上がるわけです。

ランニングコストについては、電気・ガス併用では基本料金が両方ともかかってしまうこと、電気料金の割引がほとんどないことなどを考えると、おそらくオール電化よりも光熱費は割高になるでしょう。だいたい1~3割程度は差がつくと言えます。

以上から、コストでオール電化と電気・ガス併用を比較すると導入時の費用では電気・ガス併用、ランニングコストではオール電化に軍配が上がることがわかります。長い目で見ればオール電化の方がお得に使える可能性が高いと言えるでしょう。ただし初期費用に余裕がないと、住宅ローンに上積みする金額が単純に増えることになってしまいます。よく考えて、ベストな道を選びましょう。